砂糖健康学入門

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Ph.D.Edward L.Gibson
ロンドン大学医学部 健康と行動研究室特別研究員 医学博士
 1981年ロンドン大学医学部卒業。バーミンガム大学研究員、ロンドン精神医学協会研究員を経て、'96年より現職。栄養やストレスが脳に与える影響、甘味と空腹感に関する研究など、摂取の中枢制御に関する研究多数。

砂糖、健康、食習慣・事実と虚構
 砂糖を摂取すると糖尿病になるとか、血糖の急上昇を起こすということが一般的に広く信じられています。また血糖の上昇に続いて、依存症を招いたり低血糖を引き起こし意識が薄くなる、疲れる、もしくはうつ状態になるという話もあります。しかし実際は、糖分ではなく脂肪摂取の増加が肥満を促進するとされています。

  また摂取した砂糖の量と血糖値、つまり血液中のブドウ糖の量の関係についても、かなり混乱があるようです。血中ブドウ糖は、食物から消化管を通して取り込まれたものだけではなく、デンプンやタンパク質も含め消化・吸収された栄養物が体内で代謝されて作られたり、体に貯蔵しているものから作られたりします。さらに、血糖値はブドウ糖が体の組織内にどれだけ吸収されるかということにも影響を受けます。つまり、血糖値が高くなるのは砂糖を食べた直接の結果ではありません。

  砂糖は食物の中でも貴重なエネルギー源のひとつで、とくに中枢神経に働くことにより、タンパク質や他の栄養素が成長・維持に使われるのを助けます。また、砂糖の摂取量が多くなると脂肪の摂取量は少なくなる、という相関関係があることも判明しています。

  結論として、砂糖は肥満の原因ではなく、逆に脂肪摂取を減らし、体重増加を防ぐもの。砂糖を多く含んだ食品は、糖尿病などの肥満に関連した疾病のリスクを減らす。砂糖が血糖値の上昇とその後の低血糖を引き起こし、それによって気分のうつ状態を引き起こすことを示す科学的証拠はない、ということがいえます。

砂糖と健康・東京フォーラム(2000年6月)


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